詩臥遊

12月も終わりに近づいてくると、
なんとなく物悲しくなってくるのです。

山の木々は、すっかり葉を散らし、
細やかに捌けた無数の枝は、稜線を曖昧に模っています。

今年は、庭の薔薇が未だに散らず、
木枯らしに揺れながらも咲いています。
まるで厳しい世の中に、ひとり逆らうように・・・・

池には合鴨のつがいが、
寒い風が吹き抜ける中、仲良く寄り添って波に身を委ねています。



歳末の山居で詠んだ一首です。

寒中暮山居

薔薇未散忍風霜   薔薇 未だ散ず 風霜を忍び

鵞影相交委冷浪   鵞影 相交えて 冷浪に委ねる

眼看天然何限興   眼看の天然 何ぞ興に限りあらんや

烹茶一楽暮閑房   烹茶一楽 閑房の暮

下平声陽韻

戊子蝋月残纔五  松知菴主人

薔薇の花は未だ散らず、風や霜に耐えるように忍び、

鵞鳥のつがいは、お互い身を寄せながら、
冷たい波に身を委ねて浮かんでいます。

目の当たりに見る、自然のありのままの姿に、
どうして興味が尽きることがあるのでしょうか。

年の暮れとはいえ、私は、文房でこんな景色を眺めながら、
のんびりと茶を淹れて楽しむ事くらいです。

戊子(平成二十年)蝋月(12月)
残纔五(残すところあと僅か5日) 松知菴主人

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