座 臥遊

・伊藤若冲に倣って・

京都市伏見の深草にある石峰寺。
江戸時代に中国から伝わった禅宗である黄檗宗らしい総門です。
そして、あの伊藤若冲が終焉の地に選んだ寺としても知られています。



まずは若冲先生の墓前に参ります。



11月もまもなく終わろうとしているこの季節。
原色の鮮やかな作品も多く残されている若冲先生らしく
墓の周囲は、眩しいくらいに紅葉が輝いています。
墓の右隣には筆塚が。

墓地を右手に見て、奥の竹林へ。

若冲先生の探し求め、ついには創造してしまった大宇宙、
五百羅漢の世界です。

竹林のいたる所に、若冲先生の指導の下
製作されたという羅漢の石像が散在しています。
しかし、あれだけ精緻な絵画作品を残された若冲先生らしくなく、
精巧とは言いがたい自由奔放な姿の羅漢像です。
きっと、若冲先生の求めるところは、そこには無かったのでしょう。

天空に向かって一直線に登る、翡翠色の竹竿。
細波のように太陽の光を遮る重なり合った竹葉。
そういえば、若冲先生の描く竹葉は、この光のように細やかです。

この空間に身を置くことで、俗気を遮断し、
自ら犯してきた、あらゆる煩悩を拭い去ろうとでもしたのでしょうか。

他人に施しをするなんてことは考えなかったはず。
自ら仏の世界に近づくためには、どうしても必要な宇宙だったのでしょう。
羅漢達のように・・・・

さて、今日はこ石峰寺で、全国から集まった皆さんと共に、
茶を召し上がって頂きながらの席画を楽しませて頂きました。
そう、若冲先生がおよそ200年前、ここでされたのと同じように。



お茶の道具は、若冲先生が敬愛していた売茶翁好みの道具、
「四方棚」を使って。

菓子は、この日の為にオーダーした、
奈良菊森行基堂御製の「羅漢」です。

床の間には、ご住職の計らいで、
若冲先生の水墨画の代表作のひとつ、
「虎」を掛けていただきました。

席画で描いた2枚の作品。



左は「虎」と共に、とても好んで描かれた「鶏」の画を、
若冲先生に倣って描かせていただきました。

気が付けば、本物の若冲先生の「鶏」の画が、
床柱に掛かっているではありませんか。



ご住職の粋な計らいですが、
本物の前で描くとは・・・・恐縮しきりです。

若冲先生。どうかお許しを。



席画のあとは、伊藤若冲先生研究の第一人者でおられる
狩野博幸先生(同志社大学教授)のお話が続きました。

そして、西の空に日が沈む頃には、
伏見の老舗、「玉屋」さんのお弁当に舌鼓を打ちながら、
参加頂いた皆様とご一緒に、若冲先生の話に盛り上がりました。



半日ほどの出来事でしたが、
文人趣味の世界に傾倒されていた若冲先生と共に
過ごさせていただいた、この上ない幸福な時間でした。

石峰寺のご住職様、狩野博幸先生、企画されたJTB様、JCBカード様、
そして、遠方より参加された多くの皆様。
どうもありがとうございました。



※この企画は、H20年11月29日に行われた、
JCBとJTBのタイアップ企画による、JCBゴールデン会員会誌
「ゴールド」誌上で募集された
「〜錦秋の京都・石峰寺に奇想の絵師・伊藤若冲を訪ねて〜」
のご報告です。

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